1 2022年(令和4年)2月24日、ロシア連邦はウクライナに対し、軍事侵攻を開始した。
国連憲章は、国際関係における武力による威嚇又は武力の行使を禁じているところ(第2条第4項)、今回のロシア連邦による軍事侵攻がこれに違反することは明らかである。国連総会は、2022年(令和4年)3月2日、ロシア連邦による武力行使を憲章第2条第4項違反と認定し、ウクライナ領土からの無条件撤退を要求する決議を141カ国の圧倒的多数の賛成により採択した。また、国際司法裁判所は、同年3月16日、国際法上の法的拘束力を持つ暫定措置命令により、ロシア連邦に対して軍事作戦の即時停止を命じた。
ロシア連邦は、国連安保理の常任理事国として、国際紛争の平和的解決の実現に尽力すべき立場にありながら、今回の軍事侵攻に及んだ上に、上記の国連総会決議や国際司法裁判所の暫定措置命令を無視しており、国際的な強い非難を免れない。
また、プーチン大統領は、核兵器による威嚇、及びその使用の可能性について言及しているが、核兵器の威嚇・使用は国際人道法の原則に一般的に違反するものであり(国際司法裁判所1996年(平成8年)7月8日付け勧告的意見)、唯一の戦争被爆国である日本国民として到底容認できるものではない。
2 今回のロシア連邦による軍事侵攻では、非戦闘員が攻撃目標とされ、多くの一般市民の生命、身体、財産に深刻な損害を与えている。
また、本年4月現在でウクライナの人口のおよそ4分の1に相当する約1200万人がウクライナ国内外で避難を強いられるなど、人道上の重大な危機が生じている。
3 今回のロシア連邦による軍事侵攻は、国際法秩序や普遍的な人権及び人道主義と相容れないものであり、当会は、基本的人権を擁護することを使命とする弁護士を構成員とする団体として、ロシア連邦、プーチン政権に対し強く抗議する。
また、当会は、日本政府に対し、非核三原則を堅持する立場を前提に、核戦力による威嚇を含む軍事侵攻の早期停止及び紛争解決に向けて積極的な役割を果たしていくことを求める。
以上
2022(令和4)年4月28日
鳥取県弁護士会
会長 西 川 文 雄