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【会長声明】裁判所速記官の養成再開を求める会長声明

 裁判所法第60条の2第1項は「各裁判所に裁判所速記官を置く。」と規定し、各裁判所に裁判所速記官を配置することを定めている。裁判所速記官は、裁判所の事件に関する速記とこれに関する事務を掌る。裁判所速記官は、法律用語にも精通し、誤字や脱字、聞き間違いなどの危険性が少ない。裁判所速記官制度は、裁判記録の正確さと公正さを担保し、迅速な裁判の実現に資するものである。
 ところが、最高裁判所は、平成10年度から、裁判所速記官の新規養成を停止した。このため、裁判所速記官は減少の一途をたどり、裁判所速記官が配置されない地方裁判所も現れている。現在、鳥取地方裁判所管内には裁判所速記官が配置されていない。
 最高裁判所は、裁判所速記官による速記録に代わるものとして、民間委託による録音反訳方式を導入している。しかし、調書の完成までに相当の日数を要するため、迅速な裁判の実現に資するものとはなっていない。民間業者は法律用語に精通しているとは限らず、誤字や脱字、訂正漏れ等の問題点が指摘されている。
 とりわけ、重罪事件の有罪無罪や量刑を一般市民が審理する裁判員裁判において、裁判員が公正かつ正確に事実認定を行うためには、法廷での訴訟当事者のやりとりや証言内容を、即時に、かつ正確に、確認できるようなシステムの整備が不可欠である。
 現在、最高裁判所は、コンピューターによる音声自動認識システムを導入し、裁判員の評議においても、証言や供述を検索できるようにしている。しかし、音声認識の精度が低く、文字による再現が不正確であるため、検索困難となる場合も多いと指摘されている。裁判所が証言内容等を正確に文字化した供述記録を作成しなければ、結局、裁判員は自分の記憶と自分のメモを頼ることとなる。このような状況において、正しい事実認定が行われるかどうか、甚だ疑問といわざるをえない。
 一方、裁判所速記官による速記は、法廷での質問と応答を直ちに文字化し、即日に速記録を作ることが技術的に可能となっている。文字化された供述記録は裁判員にも閲覧が容易であり、一覧性も高く、正確な審理や評議を期待できる。少なくとも、裁判員裁判においては、裁判所速記官を活用し、訴訟当事者や裁判員が即時に供述記録を閲覧できるようなシステムを採用すべきである。
 現在、国際的には、法廷での質問や応答を記録する方法として、リアルタイム速記が主流となりつつある。アメリカにおいても、近年、速記者が大幅に増員されている。最高裁判所がこのまま裁判所速記官の養成を停止し続けることは、国際的な潮流に反する。
 よって、当会は、公正かつ迅速な裁判を実現する観点から、最高裁判所に対し、直ちに裁判所速記官の養成を再開するよう強く求める。

以上
2018(平成30)年7月31日
鳥取県弁護士会  
会長 駒 井 重 忠

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