現在、政府は、普天間飛行場の代替用地を米国軍に提供するため、沖縄県北部の辺野古崎海域で埋め立て工事を行っている。
しかし、基地建設の是非を主たる争点とする過去二度の沖縄県知事選挙ではいずれも基地建設に反対する候補が大差で勝利しており、いまも沖縄県民の多くが新基地の建設に反対している。
辺野古新基地建設は、辺野古・大浦湾の豊かな自然環境を不可逆的に破壊するものであるとともに、戦後70年もの長きにわたり基地の負担に耐え抜いてきた沖縄県及び沖縄県民に重ねて過重な基地負担を強いるものであるから、当該基地の建設がわが国の防衛上唯一の解決策であることの合理的な説明がないままに、沖縄県民の意に反した建設工事を継続することは、沖縄県民の自主的判断を軽視し、その尊厳を踏みにじる結果につながるものだといわざるをえない。
沖縄県民が現に強いられている新基地建設の問題は、沖縄と政府だけの問題ではない。このことは自国の防衛の問題として、国民全体が自分たちのこととして捉えなければならない。自国の防衛は国が重点的に担う事項であり、平和の恩恵を受ける対価として国民が一定の負担を甘受すべきだとするならば、その負担は合理的な理由のない限り、すべての国民が等しく負うべきであり、特定の地域の国民にのみその大部分を担わせる不平等があってはならない。
沖縄県民が現に強いられている新基地建設の問題を、仮に自分たちの県下の問題として想像してみた場合、これを対岸の火事として拱手傍観することはできないはずである。
2018年12月10日、沖縄弁護士会は「辺野古新基地建設が、沖縄県民にのみ過重な負担を強い、その尊厳を踏みにじるものであることに鑑み、解決に向けた主体的な取り組みを日本国民全体に呼びかけるとともに、政府に対し、沖縄県民の民意を尊重することを求める決議」を可決させた。当会は、この沖縄弁護士会の決議に深く賛同の意を表するとともに、沖縄県民の民意を尊重し、辺野古新基地建設を停止するよう政府に要望するものである。
以上
2019(平成31)年1月25日
鳥取県弁護士会
会長 駒 井 重 忠