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【会長声明】臨時国会での再審法改正の実現を求める会長声明

 当会は、2023年(令和5年)5月30日開催の定期総会において、「刑事訴訟法中、再審に関する規定の改正を求める総会決議」を採択し、また、2024年(令和6年)9月26日には、「『袴田事件』の再審無罪判決を受け再審法の速やかな改正を求める会長声明」を発出し、政府及び国会に対し、再審法の全面的な改正を速やかに行うよう求めてきました。

 その後、国会においては、本年6月18日、「刑事訴訟法の一部を改正する法律案」(以下「本法案」)が衆議院に提出され、その後、衆議院法務委員会に付託されて、閉会中審査となっています。本法案は、昨年3月に発足した「えん罪被害者のための再審法改正を早期に実現する議員連盟」(以下、「再審法改正議連」)が、全国会議員の半数を超える議員の参加を得て、えん罪被害者、最高裁、法務省、日本弁護士連合会等からのヒアリングを実施して改正項目や条文案を検討するなどの精力的な活動を重ね、法案として結実させたものです。「再審制度によって冤(えん)罪の被害者を適正かつ迅速に救済し、その基本的人権の保障を全うする」という観点から、①再審請求審における検察官保管証拠等の開示命令、②再審開始決定に対する検察官の不服申立ての禁止、③再審請求審等における裁判官の除斥及び忌避、④再審請求審における手続規定を定めるもので、これは、当会がこれまで求めてきた再審法改正の内容と軌を一にするものであり、高く評価できます。再審法改正議連をはじめとする関係各位のこの間の尽力に深い敬意を表します。

 一方、再審法改正に関しては、本年4月21日以降、法制審議会刑事法(再審関係)部会(以下「法制審部会」)において審議が行われ、本法案の定める4項目も審議対象となっています。
 しかし、検察官と密接な関係を有する法務省が事務局を務める法制審議会が主導的な役割を担うことについて、まずもって、強い懸念を表明せざるを得ません。さらに、これまでの法制審部会における審議では、いわゆる「袴田事件」や本年7月18日に名古屋高等裁判所金沢支部において再審無罪判決(検察官控訴に対する棄却判決)が言い渡された「福井女子中学生殺人事件」などの著名なえん罪事件を通じて明らかになった再審法の不備を指摘して法改正を求める意見がある一方で、再審手続における証拠開示の範囲につき新証拠及びそれに基づく主張に関連する限度にとどめようとする意見や、再審開始決定に対する検察官の不服申立てを禁止することに消極的な意見が見られます。 法制審議会が主導的な役割を果たす場合、改正内容が本法案と比べて極めて不十分となることが危惧されます。
 また、法制審部会においては、事務局を務める法務省が原案を取りまとめる形で、上記4項目の改正に関する是非を含む全14項目に及ぶ論点が提示されています。法制審議会での早期の取りまとめを目指すとしても、その法案化までには相当な期間を要することは明らかで、改正が速やかに進む目処は立っていないと言わざるを得ません。
 このような状況に照らせば、まずは「国の唯一の立法機関」である国会において、速やかにあるべき再審法改正の方向性を示すことが重要です。そして、法制審議会では、その方向性に沿って、残された論点も含めて審議を尽くす役割を担うべきです。

 よって、当会は、国会に対し、速やかに本法案の審議を進め、今秋にも予定されている臨時国会において、本法案を可決・成立させること、並びに、法制審議会に対し、本法案の定める4項目を前提に、さらにそれを補完する方向での審議を進めることを求めます。

以 上

                      2025年(令和7年)8月4日
鳥取県弁護士会
会長 川井 克一

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