第50話~第62話
「31 どっちの苗字も好きに名乗っていいってことですよね」~「40 証人を偽装したならば、当然のことながら、遺言書は無効」
第50話~第62話
「31 どっちの苗字も好きに名乗っていいってことですよね」~「40 証人を偽装したならば、当然のことながら、遺言書は無効」
「31 どっちの苗字も好きに名乗っていいってことですよね」
~寅子が民法750条に託した夢の行方~
「31 どっちの苗字も好きに名乗っていいってことですよね」
~寅子が民法750条に託した夢の行方~
連載プロジェクトチームの清水奈月です。
虎に翼第50話では、改正民法を新聞で読んだ花江たち家族が、家族の苗字が母の旧姓ならどんな名前になっていたかを笑って話す場面がありました。今回は、夫婦の苗字に関する現状を紹介します。
明治民法では「妻ハ婚姻ニ因リテ夫ノ家ニ入ル」(788条1項)「入夫及ヒ婿養子ハ妻ノ家ニ入ル」(同条2項)「戸主及ヒ家族ハ其家ノ氏を称ス」(746条)とされ、夫婦は家の氏を称することになっていました。
改正後の現民法750条は「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する。」とし、同じ苗字にするのであれば、夫婦のどちらのものでもよいことになっています。
ところが2022年のデータでは、夫の苗字にした夫婦は94.7%で、この30年にわたり数字上は大きな変化がありませんでした。寅子は民法の改正作業が終わったあと「これからの社会は国民にこの民法をどう使ってもらうか次第です」と述べましたが、夢見ていた男女平等のあり方とは違っていたかもしれません。
夫婦が同じ苗字でなければならないとする民法の規定を争う裁判もあり、今年3月にも東京地裁と札幌地裁に訴訟提起がありました。原告が求める「選択的夫婦別姓制度」は、同じ姓にするか、それぞれ婚姻前の姓のままでいるかを、夫婦ごとに自由に選択するというものです。
夫婦なら必ず同じ苗字でなければならないのか、そうでなくてもよいのか。一人一人の価値観に根差した議論であり、また、自分とは異なる価値観をどう扱うかという議論でもあると思います(なお、弁護士が旧姓を名乗る「職務上の氏名」は連載22でご紹介しました。)。
(各会員の意見にわたるものについては、鳥取県弁護士会を代表するものではありません。)
「32 人をさばく裁判官の身でどうしてヤミができるか」
~「法か死か」花岡裁判官に他の選択肢はなかったのか~
「32 人をさばく裁判官の身でどうしてヤミができるか」
~「法か死か」花岡裁判官に他の選択肢はなかったのか~
連載プロジェクトチームの森永有紀です。
虎に翼第51話では、食糧管理法違反事件を担当していた花岡悟裁判官が栄養失調で亡くなるという、寅子たちにも視聴者にも衝撃と悲しみを与えたエピソードがありました。
裁判官は法律に従って判決をしなければならず、他方で、法律に違反したヤミ米を食べなければ餓死してしまうような極限状態で、究極的には死を招きかねない「裁判官の良心」について解説します。
憲法76条3項は「すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される。」と定めます。
ここでいう「良心」とは、裁判官の個人の主観によるものではなく、プロの裁判官の1人として持つべき良心とされています(客観的良心)。
例えば、裁判官が信じる宗教の信仰に基づいて、離婚という制度そのものに反対していたとしても、判決において離婚を認めないということはできません。
最高裁も、「裁判官が良心に従うというのは、裁判官が有形無形の外部の圧迫ないし誘惑に屈しないで自己内心の良識と道徳観に従うの意味である。」と述べています(最大判昭和23年11月17日)。
清廉な花岡さんにできたことは、食糧管理法を憲法違反として無効とするか、具体的な事案について、命がかかっていた極限状態であったから緊急避難などとして違法性がないと、被告人に無罪判決を出すことかもしれません。
判例を検索すると、弁護側が、食糧管理法は生存権(憲法25条)を侵害しており、無効と主張する事案が多く出てきます(最大判昭和23年9月29日など)。最高裁は合憲と判断していますが、当時も実情に沿った法律ではないという信念で、法廷活動をした法律家がいたようです。
(各会員の意見にわたるものについては、鳥取県弁護士会を代表するものではありません。)
「33 家庭裁判所は、今までの裁判所とは違うの①」
~150以上もある家事審判の特徴とは?~
「33 家庭裁判所は、今までの裁判所とは違うの①」
~150以上もある家事審判の特徴とは?~
連載プロジェクトチームの磯部紗希です。
虎に翼第52話では、寅子が、多岐川幸四郎らと共に家庭裁判所設立の準備を始めました。寅子は、花江に、家庭裁判所が、子どもや家庭の問題のように白黒つかないことについて最善の策を探す場所であると話をしています。
今回は、家庭裁判所の機能の1つである、家事審判の特徴について解説します。
家事審判とは、家事事件手続法に定められた150項目以上にのぼる事項について、家庭裁判所が行う裁判です。手続は非公開が原則です(33条)。
家事審判には、大きく分けて2種類あります。
1つ目は、公益性が高く、当事者の合意や意思だけでは決められないものです(別表第一事件)。
例えば、離婚などによって、子の苗字が、同居する父子と異なる場合に、これを変更する手続がこれに当たります(子の氏の変更許可)。
そのほか、相続放棄や、高齢者の財産管理に関する後見人の選任が代表例です。
2つ目は、当事者間での話合いによる自主的な解決が期待されるものの、話合いが成り立たない場合に、家庭裁判所が審判による結論を示すものです(別表第二事件)。
のちにドラマでも問題になる遺産分割や、離婚後の子の養育費などその代表例です。
この類型は、まずは裁判所での話し合い(調停)から始めなければならないことが特徴です(調停前置主義。257条)。
寅子の言うとおり、家庭内の問題に対する正解は1つとは限りません。「白黒」つけることが難しい家庭内の問題について、当事者の今後にとって、どのような解決方法が適切かを判断するという点において、家庭裁判所は、設立時から現在に至るまで重要な役割を担い続けています。
(各会員の意見にわたるものについては、鳥取県弁護士会を代表するものではありません。)
「34 家庭裁判所は、今までの裁判所とは違うの②」
~大人とは大きく異なる少年審判の特徴とは?~
「34 家庭裁判所は、今までの裁判所とは違うの②」
~大人とは大きく異なる少年審判の特徴とは?~
連載プロジェクトチームの渡邉大智です。
虎に翼第52話では、家庭裁判所の設立に先立ち、家事審判所と少年審判所の担当者が激しく衝突する場面がありました。
今回は、少年の犯罪に対する処分を決める現在の少年審判を紹介します。
まず、少年法での「少年」は、20歳未満の人をいいます(2条1項)。
民法の成年年齢は、令和4年4月1日から18歳となりましたが(4条)、少年法上の少年は令和4年以降も変更ありません。
少年法では、20歳以上の「大人」とは異なる対応が定められています。
例えば、大人の刑事事件では、地方裁判所などでの公開の法廷で審理がされますが、少年の場合には、原則として、家庭裁判所での非公開の審判を受けます。
そのほか、その性格・環境に照らして、将来、罪を犯し、または刑罰法令に触れる行為をするおそれがある場合には、実際に犯す前に審判に付されるなど、対応が早められてます(虞犯(ぐはん)少年、3条1項3号)。
また、20歳に近い少年にはついては大人に近いように、年少の場合にはそれに応じた形で、それぞれ対応することになっています(3条、62条1項など)。
このように少年について大人と異なる対応がされている理由としては、少年には、教育や働きかけなどによって、改善しやすいためいう点が挙げられています(可塑性(かそせい))。
私の実感としても、少年事件で出会った少年は大きく更生することがあり、これを支援する弁護活動である付添人としての仕事は、やりがいのあるものだと感じています。
(各会員の意見にわたるものについては、鳥取県弁護士会を代表するものではありません。)
「35 団結すればより多くの子どもたちを救うことができます」
~「愛の裁判所」の現状とは?~
「35 団結すればより多くの子どもたちを救うことができます」
~「愛の裁判所」の現状とは?~
連載プロジェクトチームの淺井浩二です。
虎に翼第55話では、東京家庭裁判所(家裁)の看板が掲げられました。
今回は家裁の特徴と現在の問題について解説します。
家裁は、その名の通り、離婚や相続、高齢者の財産管理(成年後見)、少年の刑事事件など、家庭の問題を扱います。
通常の裁判では、当事者が主張を戦わせ、最後に裁判官が判決を下しますが(当事者主義)、家裁では、判断にあたって、裁判所が自ら問題や非行の背後にある原因を探り、どうすれば家庭がより良い状態になるのか、少年が立ち直れるのかまで考えることが求められています(職権主義)。
これは、法律だけでは実現できないので、法律家ではない「家庭裁判所調査官」が置かれ、心理学、社会福祉学、教育学などの知識や技法が活用されています(ドラマでは「科学的性格」と紹介されました)。
特に、子どもや高齢者など、その人の意思が明確に表れにくいような場合には、裁判官や調査官、弁護士などの関係者全員が、その人の利益を重視する必要があります。団結すれば、子どもなど社会的に弱い立場にある多くの人を救うことができるというわけです。
もっとも、家裁が扱う件数は増加していますが、特に地方では地裁の裁判官が家裁を兼務するなど、裁判官が不足しています。調査官も全国的に人手不足です。
その結果、事件を早く終わらせるために、実態を十分に踏まえないまま杓子定規な判断に終始したり、子どもなどの意見が十分に確認されないまま手続が進められてしまう例も珍しくないようです。
家裁の現状はまだまだ「愛の裁判所」と呼ぶには道半ばというところでしょうか。
(各会員の意見にわたるものについては、鳥取県弁護士会を代表するものではありません。)
「36 児童相談所」
~子どもの「保護」に必要な微妙なバランス~
「36 児童相談所」
~子どもの「保護」に必要な微妙なバランス~
連載プロジェクトチームの渡邉大智です。
虎に翼第57話では、道男と一緒にいた年少のタカシが、「児童相談所」に入ったというくだりがありました。
今回は、現在の児童相談所について、説明します。
児童相談所の業務は様々ですが、「一時保護」(児童福祉法11条1項2号ホ)、「施設入所」(27条1項3号、28条1項など)などの業務を行っています。
一時保護や施設入所と聞くと、子どもを勝手に連れて行くようなイメージがあるかもしれませんが、例えば、両親の同時入院というような場合にも、一時保護が利用されることがあります。
これらは子どもを保護するための制度ですが、虐待などの場合は保護者の意思に反して行うことがあるほか、子どもにとっても、家庭と同様に自由とはいえない面も否定できません。
過去には児童相談所による「保護」が不適切に長期に及んだなどの問題になったケースもありました。
そのようなことを防ぐために、一時保護や施設入所に関し、裁判所による判断(司法審査)を行うようにもなってきています。
しかし、司法審査は時間がかかることから、子どもにとっては、自分がどうなるのか分からない期間が長く続くことにつながります、その不安は大きなものだと思います。
このようなことから、子ども自身が意見を表明できるように支援する制度も始まりつつあります(児童福祉法6条の3第17項など)。
子どもを保護するといっても、どのようにするのが一番良いのか、非常に難しい問題で、今後も考え続けなければならないと感じています。
(各会員の意見にわたるものについては、鳥取県弁護士会を代表するものではありません。)
「37 少年審判により不処分になりました」
~道男が受けた「試験観察」「不処分」の位置づけとは?~
「37 少年審判により不処分になりました」
~道男が受けた「試験観察」「不処分」の位置づけとは?~
連載プロジェクトチームの渡邉大智です。
虎に翼第60話では、家庭裁判所が、道男少年を「不処分」にしたという場面がありました。
今回は、少年審判の全体像と道男が受けた「試験観察」や「不処分」の位置づけについて解説します。
少年審判の結論は、大きくわけて、
・不処分(大人でいう無罪や保護処分をするまでもないと判断された場合)
・保護処分
・検察官送致(いわゆる逆送。大人と同じ刑事処分を受けるべきと判断された場合)
などがあります(少年法18条、20条、23条、24条)。
道男は、笹山のすし屋に住み込みで働くことがきまり、保護処分の必要がないと判断されたと思われます。
また、保護処分には、
・保護観察(社会で生活しつつ、保護観察所や保護司のもとに通い、指導などを受ける)
・少年院送致(少年院で矯正教育などを受ける)
・児童自立支援施設等送致(少年院よりも家庭的・福祉的なアプローチで子どもの自立を支援する)
があります(少年法24条)。
少年審判では、審判までの期間ができる限り短くなるように配慮されています(少年法44条3項など)。
しかし、少年の場合、家庭裁判所などが少年の更生の可能性も調査することもあり、社会内でやり直せるかを判断する時間が足りないことがあります。
そのような場合には、最終判断の前に、試験的に社会内での生活をさせ、家庭裁判所に通いながら、生活の報告をさせ、指導を受けさせたりすることがあります(試験観察。少年法25条)。
道男が猪爪家で生活していた期間は、試験観察の位置づけでした。
私自身も、実際、試験観察を通じて見違えるような子どもの変化を目にしたことがあり、「きっと少年院送致だろうな」と思っていた少年が社会に戻ったこともあります。
(各会員の意見にわたるものについては、鳥取県弁護士会を代表するものではありません。)
「38 家庭裁判所の調査」
~何が少年にとって良くて、何がよくないのか?~
「38 家庭裁判所の調査」
~何が少年にとって良くて、何がよくないのか?~
連載プロジェクトチームの渡邉大智です。
虎に翼第60話では、少年審判に関連して、家庭裁判所の調査という言葉が出てきました。
今回は、家庭裁判所調査官(調査官)が少年審判で果たす役割や、「付添人」の活動について、説明します。
調査官は、少年審判の場面では、少年や保護者との面談、学校への調査などにより、少年の性格や日ごろの生活などを調べます(少年法17条1項1号)。
調査官は、心理学や教育学などの専門的な知識を使って、少年の更生のための方法を探ります(56話で出てきた「科学的性格」に沿うものです)。
そのうえで、調査結果を担当裁判官に報告し、審判における判断の考慮要素にします。この報告が、少年審判では非常に重要な意味を持ちます。
これに対し、少年審判にかかわる大人として「付添人」があります。大人の刑事事件の弁護人に似た役割で、主には弁護士の仕事ですが、弁護士でない方などが活動することもあります。
付添人は少年の利益のために活動し、例えば、居住先や働き先を探したりします(環境調整)。
少年の場合、「今の少年の気持ちからすればするべき」だが、「少年の将来を考えるとすべきでない」というようなこともあります。
特に非行少年は、自分の意見を無視され、抑圧されてきたことも多く、将来のことを考えてその気持ちを抑え込むと、また無視されたような経験を繰り返すことになり、かえって悪影響になりえます。
何をもって「少年の利益」と考えるか、難しいところです。
もしかしたら、少年にとってはうっとうしく感じるかもしれませんが、大人の刑事事件と異なり、調査官や付添人などの大人が手を差し伸べ、少年を立ち直らせようとしています。
(各会員の意見にわたるものについては、鳥取県弁護士会を代表するものではありません。)
「39 俺が死んだらこれを家庭裁判所に持って行って検認をしてもらえって」
~遺言書の偽造は寅子の質問でバレてたかも~
「39 俺が死んだらこれを家庭裁判所に持って行って検認をしてもらえって」
~遺言書の偽造は寅子の質問でバレてたかも~
連載プロジェクトチームの西墻省吾です。
第61話では、寅子が家庭裁判所の裁判官として、梅子の夫・大庭徹男の遺言書の検認を行う場面がありました。
今回は、検認の手続について解説します。
検認とは、相続人に対して遺言の存在と内容を知らせるとともに、遺言書の状態や、日付、署名など、検認の日の時点における遺言書の内容を明確にして、後の遺言書をめぐるトラブルを防止するための手続です。
寅子が述べていたように、遺言が有効であるか否かを判断する手続ではありません。
遺言書の保管者や、遺言書を発見した相続人は、遺言者の死亡を知った後、遅滞なく遺言書を家庭裁判所に提出して、検認を請求しなければなりません(民法1004条1項)。
検認期日には、検認の申立人や相続人などが立ち会います。裁判官が遺言書を開封し、相続人らが閲覧します。裁判官は、遺言書の筆跡や押印などについて立ち会う者に質問します。相続人らは意見があれば述べます。
ドラマでは、徹男の愛人であるすみれが、偽造された徹男の遺言書を裁判所に提出したことから、裁判官である寅子がすみれに対して、その保管や発見の経緯を質問していれば、ボロが出たかもしれません。
なお、公正証書遺言や、法務局で保管されている自筆証書遺言は、遺言書の偽造や変造のおそれが極めて低いため、検認は不要とされています(民法1004条2項、法務局における遺言書の保管等に関する法律11条)。遺言書を公正証書遺言で作成するか、自筆証書遺言で作成して法務局で保管しておくと、相続人らの手続の負担を軽くすることができます。
(各会員の意見にわたるものについては、鳥取県弁護士会を代表するものではありません。)
「40 証人を偽装したならば、当然のことながら、遺言書は無効」
~遺言書を偽造した場合の散々な結果~
「40 証人を偽装したならば、当然のことながら、遺言書は無効」
~遺言書を偽造した場合の散々な結果~
連載プロジェクトチームの豊島摩耶です。
62話では、梅子の夫・徹男の愛人であるすみれが、徹男の一般危急時遺言(連載25で解説)に記載の証人を偽装したことが判明します。
轟が「証人を偽装したならば、当然のことながら、遺言書は無効」、よねが「それどころか、有印私文書偽造罪に問われるおそれもある」と詰め寄ると、すみれは白状しました。
今回は自筆証書遺言を例に、偽造に対する制裁を解説します。
「偽造」とは、権限なく他人名義の文書を作成すること(名義を偽ること)をいいます。
自筆証書遺言は、遺言者本人が全文(財産目録を除く)、日付、氏名を自書し、押印しなければなりません(民法968条)。したがって、他人が偽造した遺言書は無効になります。
偽造に似たことばに「変造」があります。変造は、他人名義の文書の内容に権限なく変更を加えること(内容を偽ること)をいいます。
変造した遺言書は、変造した部分は無効ですが、変造前の遺言はなお有効です。
遺言書の偽造や変造は、よねが言うように、有印私文書偽造罪(刑法159条)にも問われる犯罪です。
高齢になると手が震えたり、病気の影響などで字を書くことが難しい場合がありますが、第三者が本人の手を動かして遺言を書かせたりすると、偽造などにあたるおそれがあります(東京地判平成31年3月7日)。
遺言者の相続権がある人(推定相続人)が遺言書を偽造などした場合には、遺言が無効となり、遺言書どおりの遺産を得られないだけでなく、相続権も失ってしまいます(相続権の欠格事由・民法891条5号)。
すみれと恋仲にあった三男・光三郎が偽造に加担していたならば、2/9の相続分もなくなることになります。
遺言者自身が遺言を書くことが難しい場合は、公証人に口で伝えることで作成できる公正証書遺言を利用するのがよいでしょう。
(各会員の意見にわたるものについては、鳥取県弁護士会を代表するものではありません。)