第33話~第50話
「21 実子として戸籍に入れた」~「30 カタカナばっかりで読みにくいわね」
第33話~第50話
「21 実子として戸籍に入れた」~「30 カタカナばっかりで読みにくいわね」
「21 実子として戸籍に入れた」
~実際の親子関係と異なる戸籍を訂正する手段~
「21 実子として戸籍に入れた」
~実際の親子関係と異なる戸籍を訂正する手段~
連載プロジェクトチームの足立珠希です。
第33話では、久保田先輩が、女性弁護士として初めて法廷に立ち、「妾に産ませた子を実子として戸籍に入れた」事件を担当しました。今回はこの裁判を解説します。
この裁判は、本妻が戸籍上実子となっている子との間に親子関係がないことを確認するために起こした「親子関係不存在確認の訴え」という裁判で、法律上の親子関係を否定するための訴えです。
親子関係の有無は主に父子関係で問題となりますが、ドラマのような虚偽の届出では母子関係でも問題となります。実際に中田正子先生は駆け出しのころ同種事件を手がけられたそうです。
本妻は、妾の子が戸籍上自分の子になっているのは面白くないでしょう。
法律的にも、①妾の子が自分の遺産相続人になってしまう、②夫の遺産相続で、嫡出子と非嫡出子(庶子)は遺産相続の法定相続分が異なるところが同じになってしまい、本当の実子の相続分が減ってしまう、③旧民法の家督相続の順位は嫡出男子の年長者が優先するので、事案によっては妾の子が家督相続する、など妻が訴えを起こす理由が考えられます。
なお、②の法定相続分の違い(改正前民法900条4号但書前段)については、平成25年の最高裁による違憲判決(憲法14条違反)後に改正され、現在は嫡出子と非嫡出子の差が無くなっています。
親子関係を否定する訴えは、他に嫡出否認の訴え(民法774条)があり、父のみ子の出生を知った後1年以内に訴えることができましたが、令和6年4月1日以降に生まれた子から、母や子からも起こせるようになり出訴期間も3年に改正されました。
(各会員の意見にわたるものについては、鳥取県弁護士会を代表するものではありません。)
「22 猪爪くん、じゃなくて佐田寅子くん」
~今でも弁護士・寅子は結婚後に「佐田」を名乗る必要があるか?~
「22 猪爪くん、じゃなくて佐田寅子くん」
~今でも弁護士・寅子は結婚後に「佐田」を名乗る必要があるか?~
連載プロジェクトチームの西墻省吾です。
36話では、穂高教授が「猪爪くん、じゃなくて佐田寅子くん」と呼びかけるシーンがありました。今回は、弁護士の「職務上の氏名」と夫婦別姓について解説します。
寅子たちの時代の民法は、「妻ハ婚姻ニ因リテ夫ノ家ニ入ル」(旧民法788条),「戸主及ヒ家族ハ其家ノ氏ヲ称ス」(同746条)と定めていました。つまり、妻は結婚によって夫の家に入り、夫の家の氏を称するのが原則でした。
一方で、現在の民法は、「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する。」(現民法750条)と定めています。妻の氏も選べるものの、内閣府の調査では、現在も9割以上の夫婦が夫の氏を選択しているようです。
改姓によるデメリットとして、業務上の混乱やキャリアが途切れるといったものが挙げられますが、弁護士も例外ではありません。そこで、現在は、弁護士は日弁連に届け出ることで、結婚前の戸籍上の氏名を「職務上の氏名」として使用して、弁護士業務を行うことができます。例えるなら、戸籍上の氏名は「佐田寅子」でも、「職務上の氏名」を「猪爪寅子」と届け出て、結婚後も引き続き「猪爪寅子」として弁護士業務を行えるのです。
ただ、例えば後見や不動産などの登記は「職務上の氏名」では行えず、戸籍上の氏名で行う必要があります。また、金融機関などから、「職務上の氏名」の人物と戸籍上の氏名の人物が同一であることの証明を求められることがあります。
近年は、いわゆる選択的夫婦別姓について世論が高まっています。「猪爪くん、じゃなくて佐田寅子くん」というセリフが、家に入るなどの特別な意味を持たずに受け止められる日はそう遠くないかもしれません。
「23 訴えたのって…亡き夫のご両親」
~子育てに問題がある場合に祖父母が孫にできること~
「23 訴えたのって…亡き夫のご両親」
~子育てに問題がある場合に祖父母が孫にできること~
連載プロジェクトチームの豊島摩耶です。
虎に翼第36話で、4歳の子をもつ妊娠中の満智(寅子の依頼人)は、亡き夫の両親(祖父母)から、亡き夫の友人との関係が「著しい不行跡」にあたることを理由に、親権を喪失させる訴訟を起こされました。
今回は、祖父母が母による「子の監護が不適切」と考える場合の、現行法での法的手段を考えます(なお、満智の子2人の父は、実は友人だと思える満智の発言がありましたが、それでは祖父母と孫の血縁がなくなってしまうので、ここでは考慮しないことにします)。
まず、祖父母は、家庭裁判所に、親権喪失(民法834条)や親権停止(同834条の2)の審判を申し立てることできます。父母による「虐待又は悪意の遺棄」などが問題となるケースで利用されます(認められた場合は、親権者と同一の権利義務を有する未成年者後見人の選任が問題になり、祖父母がその候補者になり得ます)。
親権者を変えずに、祖父母が孫を引き取って養育することを求める審判(子の監護者の指定・民法766条)については、最高裁は、祖父母など父母以外の第三者による申立てを認めないとしました(令和3年3月29日決定)。
なお、最高裁は、祖父母による孫との面会などの交流を求める審判も認めないとしましたが(同日の決定)、令和6年5月17日、民法が改正され、「子(孫)の利益のため特に必要があると認めるとき」に、祖父母が孫との面会交流実施の審判を求めることができるようになりました。2年以内(令和8年ごろ)に施行されます。
(各会員の意見にわたるものについては、鳥取県弁護士会を代表するものではありません。)
「24 街のよろず法律相談」
~弁護士資格がない人が法律事務を扱う問題点~
「24 街のよろず法律相談」
~弁護士資格がない人が法律事務を扱う問題点~
連載プロジェクトチームの森祥平です。
虎に翼第39話で、山田よねが働くカフェーの「街のよろず法律相談」で、よねが女性から委任状などを受け取って「何から何までありがとね」と感謝される場面がありました。この「街のよろず法律相談」の問題点を解説します。
弁護士でない者は、報酬を得る目的で法律事件に関して、法律事務を取り扱い、又は周旋(仲介)することを業とすることができない、としています(非弁行為の禁止。弁護士法72条。同77条3号に罰則)。
よねがいかに女性に親身に対応したとしても、無資格で委任状などを取りまとめ、報酬を受け取ってカフェーの生き残りに貢献することは非弁行為の疑いがあります。
戦前の制度まではわかりませんが、今でいうキャバクラで、無資格者が行う「よろず法律相談」はいかがわしいと言わざるを得ず、よねが理想に燃えつつも、戦中の苦しい時代を際どい行為でしのいでいたことが表れています。
なお、弁護士が、非弁活動を行う者に、名義を貸すなど結託することも禁止されています(非弁提携の禁止。弁護士法27条。同77条1号に罰則)。インターネットなどで債務整理や詐欺被害の回復をうたう非弁業者は、市民を食い物にする重大な問題であり、これに手を貸す非弁提携は、厳しい懲戒処分の対象となります。
(各会員の意見にわたるものについては、鳥取県弁護士会を代表するものではありません。)
「25 一生分の懺悔する気?」
~懺悔のほかに亡くなる直前にできること~
「25 一生分の懺悔する気?」
~懺悔のほかに亡くなる直前にできること~
連載プロジェクトチームの西墻省吾です。
第43話では、死期を悟り、大量の後悔と秘密を話し続けた直言に対し、寅子が「一生分の懺悔する気?」と問う場面がありました。今回は、死後の遺産の分け方などを決める遺言を、死が差し迫っても作成できることを解説します。
遺言の作り方には厳格なルールがあります。
例えば自筆証書遺言は、遺言者が遺言書の全文、日付及び氏名をすべて自分で書かなければなりません(民法968条1項)。ルールに反する遺言は原則として無効となります。
とはいえ、死が迫ると声は出せても、ペンを持てず、署名もできないこともあるでしょう。
そのような場合でも、最期に遺言を残したい人のために「一般危急時遺言」の方法があります。
これは死の危険が差し迫った人が、証人3人以上の立会いのもと、その1人に「遺言の趣旨」を口頭で述べることで遺言をするものです。証人は「遺言の趣旨」を書き取り、それが正確であることを確認した上で、署名押印します(民法976条1項)。
なお、寅子たちの時代にも一般危急時遺言の制度はあり(旧民法1076条)、直言は、懺悔だけでなく、誰かに証人になってもらって、遺言を作ることができたわけです。
もっとも、一般危急時遺言はあくまで応急的なものです。自筆証書遺言など普通の方式で遺言ができるようになった時から6か月間生存するときは、一般危急時遺言は失効してしまいます(民法983条)。
一般危急時遺言があるとはいえ、死が差し迫る前に、遺言は準備しておきたいものです。
(各会員の意見にわたるものについては、鳥取県弁護士会を代表するものではありません。)
「26 寅ちゃんが後悔せず、心から人生をやり切ってくれること」
~日本国憲法を先取りした優三の言葉~
「26 寅ちゃんが後悔せず、心から人生をやり切ってくれること」
~日本国憲法を先取りした優三の言葉~
連載プロジェクトチームの豊島摩耶です。
第44話では、寅子が川岸で優三の言葉を回想しながら、新聞に記載された憲法14条(平等権)を読んで涙する場面がありました。今回は、平等権の隣の条文である13条の「個人の尊重」に焦点を当てたいと思います。
憲法13条は「すべて国民は、個人として尊重される。」とし、「幸福追求に対する国民の権利」(幸福追求権)などを定めています。これは明治憲法にはない原理です。
「寅ちゃんができるのは,寅ちゃんが好きに生きること」
「寅ちゃんが後悔せず、心から人生をやり切ってくれること」
という優三の言葉は、戦後の日本国憲法の「個人の尊重」と同じ価値観です。
14条以下の基本的人権(平等権や表現の自由など)も、「個人の尊重」が根底にあります。優三は「また弁護士をしてもいい。違う仕事を始めてもいい。優未のいいお母さんでいてもいい。」と述べますが、これは基本的人権の1つである職業選択の自由(22条1項)で保障されています。
幸福追求権は、憲法には書かれていない「新しい人権」の根拠になっています。肖像権や、子どもを持つ・持たないなど家族のあり方を決める自由(避妊・中絶など)、尊厳死など医療を受けるか否かを決める自由なども、プライバシー権や自己決定権として、憲法13条から導き出されるとするのが通説的見解です。
(各会員の意見にわたるものについては、鳥取県弁護士会を代表するものではありません。)
「27 これから私たちはみんな平等なの」
~平等権がある女性の運命を変えた事例~
「27 これから私たちはみんな平等なの」
~平等権がある女性の運命を変えた事例~
連載プロジェクトチームの古田昌己です。
虎に翼第45話では、寅子が弟直明に勉強するよう説得した家族会議で、日本国憲法14条1項を読み上げる場面がありました。今回は、平等権を定めた憲法14条1項がある女性の運命を変えた事例をご紹介します。
この事例で、被告人Xは、実父から夫婦同様の関係を強いられ、その間に数人の子ができるなど極めて悲惨な境遇にあり、脅迫や虐待を受け続けた末、父を殺してしまいました。
当時の刑法200条は、父母、祖父母など「尊属」を殺害した者に対し「死刑又は無期懲役」を科すと規定していました(尊属殺人)。そのため、尊属以外の普通殺人(刑法199条)とは異なり、尊属殺人の場合は、可能な減軽をすべて行っても執行猶予を付けることができず、実際、東京高裁はXに実刑判決を言い渡しました。
これに対し、最高裁は、尊属殺人の刑の重さの程度が「あまりにも厳しい」という理由で、刑法200条が憲法14条1項に違反して無効とし、普通殺人を適用して、Xに対し執行猶予判決を下しました(昭和48年4月4日判決。なお、尊属だけ特別の保護を受けること自体が憲法14条に違反するとした意見が付されています)。
このように、平等権のおかげで、過酷な境遇にあったかわいそうなXは、実刑判決を免れました。そして、最高裁判決の後は、刑法200条が適用されることはなく、現在では削除されて、欠番となっています。
(各会員の意見にわたるものについては、鳥取県弁護士会を代表するものではありません。)
「28 家督相続の廃止」
~どうなる? 猪爪家と佐田家の相続問題~
「28 家督相続の廃止」
~どうなる? 猪爪家と佐田家の相続問題~
連載プロジェクトチームの足立珠希です。
寅子は、司法省で民法親族・相続編の法改正の仕事をすることになりました。今回は第47話でライアンこと久藤頼安が述べた「家制度や戸主、家督相続の廃止」について解説します。
戦前の親族法は、「戸主」を家長とする「家制度」に立脚しており、相続には、戸主の相続である「家督相続」と、個人の相続である「遺産相続」の2種類がありました。
「家督相続」は、戸主に帰属する戸主権、家業や家の財産の全てを次の戸主ひとりに相続させる制度であり、原則として長男が代々承継しました。戸主の死亡だけでなく戸主が隠居して家督を譲る方法もありました。
一方、戸主以外の人の財産は、「遺産相続」により相続人に承継されました。第一順位の相続人は子で、子らの間の相続分は平等でした。現代と異なり、配偶者は子や孫がいない場合に限り相続人となりました。
ドラマでは、終戦前後に、寅子の兄(直道)、夫(優三)、父(直言)が相次いで亡くなり、つらい展開でした。
しかし、相続は大事なことなので、猪爪家、佐田家の具体的な相続について考えてみましょう。
1 猪爪家の相続
猪爪家の戸主は寅子の父の直言です。
先に戦死した寅子の兄直道の個人的な財産は、遺産相続により、直道の長男直人と二男直治が同じ割合で相続します。妻の花江は相続しません。
猪爪家の家督相続は、戸主の直言が亡くなったときに開始します。直言より先に長男の直道が亡くなっているので、直道の長男である直人が家督相続し、次の戸主となります。直言の二男である直明は猪爪家の財産を相続できません。妻のはるや長女の寅子も同様です。
2 佐田家の相続
優三は両親や親戚がいない設定なので佐田家の戸主と思われます。家督相続するのは妻の寅子ではなく、まだ幼い一人娘の優未で、優未が女戸主となります。
現代の相続とはかなり異なり、子らの間に不平等があることや妻の権利が弱いことがわかりますね。
このような家制度や、それを前提とした家督相続は、日本国憲法第14条(平等原則)や第24条(婚姻関係における両性の平等)に反するので、憲法施行にあたり廃止されました。親族・相続編の改正により、家族の単位は家ではなく親子とされました。「相続」は個人の相続のみとなり、子らの法定相続割合は平等となったほか、配偶者は常に法定相続人とされました(民法第900条)。
ところで、令和の現代、家督相続制度はもはや過去の遺物かというとそうではありません。今でも、何代か前の先祖の名前になっている不動産登記はたくさんあり、昭和22年5月2日までに発生した相続には家督相続の適用がありますので、注意が必要です。
(各会員の意見にわたるものについては、鳥取県弁護士会を代表するものではありません。)
「29 婦人代議士」
~寅子が弁護士になるより遅かった女性の参政権~
「29 婦人代議士」
~寅子が弁護士になるより遅かった女性の参政権~
連載プロジェクトチームの足立珠希です。
48話で、民法親族・相続法改正の意見を聞くため、寅子は、「婦人代議士」たちの集まりに参加しました。今回は、戦後誕生した「婦人代議士」について解説します。
昭和8年弁護士法の改正により性別要件が撤廃され、昭和15年には3人の女性弁護士が誕生しましたが、このころ女性には選挙権や被選挙権はありませんでした。
戦後の昭和21年4月、戦後初の衆議院議員選挙において、日本国憲法制定に先立ち、婦人の選挙権や被選挙権が認められ、39人の「婦人代議士」すなわち女性国会議員が誕生しました。
日本国憲法は、成年者による普通選挙を保障しています(15条3項)。普通選挙とは、納税額や財産を選挙権の要件としないものをいいますが、今日では、人種、身上、性別、教育などによる制限も含めるとされています。
また、44条は、「両議院の議員及びその選挙人の資格は、法律でこれを定める。但し、人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入によつて差別してはならない。」と定め、被選挙権及び選挙権の資格について、性別その他による差別を禁止しています。
憲法では男女平等がうたわれていますが、わが国の政治分野の男女共同参画は世界的にみると未だ後進的です。
前述の戦後初の衆議院議員選挙では、定員466人に対し女性議員39人が当選し、女性割合は8.4%でした。それから75年後の令和3年10月実施の衆議院議員選挙では、定員465人に対し女性議員45人であり、女性割合は9.7%となっています。
これを比較すると微増で推移しているように見えますが、実は、衆議院議員の女性比率は戦後初回を除いてたいへん低く、戦後2回目は3.2%、その後は平成5年まで1%から2%台を推移しており、最低割合は昭和51年の1.2%です(定数511人、女性議員6人)。
これはそもそも女性候補者の割合がたいへん低かったためであり、女性候補者の割合が増加するにつれて平成8年から女性議員比率も増加してきました。最高割合は、平成21年の11.3%で、近年は10%前後で推移しています。
一方、参議院については、昭和22年4月実施の第1回選挙では、定員250人に対し女性議員10人の当選で、女性割合は4.0%に過ぎなかったところ、こちらは徐々に増加し、令和4年7月実施の第26回選挙後には、定数248人に対し女性議員64人で、女性割合25.8%となっています。
(各会員の意見にわたるものについては、鳥取県弁護士会を代表するものではありません。)
「30 カタカナばっかりで読みにくいわね」
~弁護士はカタカナばかりの法律をスラスラ読めるか~
「30 カタカナばっかりで読みにくいわね」
~弁護士はカタカナばかりの法律をスラスラ読めるか~
連載プロジェクトチームの森祥平です。
虎に翼第50話で、寅子が意見を求めた民法親族編・相続編(家族法)の改正法案に対し、はるが「カタカナばっかりで読みにくいわね」ともらす場面がありました。今回は、法律の文体の移り変わりを紹介します。
民法の家族法(725条以下)は、戦後の1947年改正で現代の口語体に変わりましたが、契約などのルールを定める総則・財産法(724条まで)は、カタカナばかりの文体が残りました。この状態は戦後50年以上も続き、2004年にやっと改正されて、読みやすいものになりました。
なお、刑法も長くカタカナばかりの文体でしたが、民法に先立ち、1995年に改められました。
現在でも、カタカナばかりの法律は残っており、社会の重要な機能を担っています。その例として「盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律」があり、窃盗を繰り返す場合に問題となる「常習累犯窃盗罪」などが定められています。
改正前の読みにくいカタカナの法律は、勉強を始めたばかりの法学部生や当時の司法試験受験生の壁となって立ちはだかりました。法律は口語体でも読みにくく、寅子が言うように「身近になった」とまでは言えないかもしれませんが、とっつきやすくなったとは思います。
また、法律家になったからスラスラ読めるわけでもなく、今でも戦前の判例である大審院判例を調べることがあり、カタカナばかりなので、読み込むには骨が折れます。
(各会員の意見にわたるものについては、鳥取県弁護士会を代表するものではありません。)