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【会長声明】最低賃金の大幅な引上げを求める会長声明

 2025年10月4日施行の鳥取県の地域別最低賃金は、前年から73円引き上げられ、時給1030円と決定されました。しかし、時給1030円という水準は、フルタイムの労働者(一般労働者)の月間所定内労働時間である147.3時間(「毎月勤労統計調査 令和7年分結果確報」)で換算すると、月収約15万1719円、年収約182万円程度にしかなりません。この賃金額では、依然として労働者やその家族が十分に生活できるだけの水準とは言えません。
 日本労働組合総連合会(連合)の調査によれば、労働者1人の「健康で文化的な生活ができ、労働力を再生産し社会的体裁を保持するために最低限必要な賃金水準」は、地方でも自動車保有を前提とすれば全て月23万円以上となっており、自動車保有をしない前提での大都市部の金額よりも高額となっています。全国労働組合総連合(全労連)の調査でも、労働者1人が質素であるが「ふつうの暮らし」をするのに必要な賃金水準は、大都市も地方も月24万円以上となっています。
 日本の実質賃金は、1990年以降、ほとんど上昇していません。近年は、総務省の消費者物価指数が2020年を100として2025年12月には113.0となるなど物価が高騰し、実質賃金は、2022年から4年連続で低下して1990年以降で最低水準となっています。近年の名目賃金の上昇は、物価高騰によって全てかき消される形となっています。最低賃金の大幅な引き上げが更なる物価高騰につながるとの懸念もあり得ますが、名目賃金の上昇は物価上昇の1つの要因に過ぎません。国際紛争による原材料やエネルギーの価格上昇や円安等の他の要因により物価が上昇する中で、賃金を引き上げなければ、労働者の生活は成り立たなくなってしまいます。
 就職氷河期以降、低賃金の非正規労働者が増大し、正規労働者の労働条件も劣化するなど、憲法27条1項の勤労権(労働によって生計を立てる権利)や賃金等の労働条件の公正性がおざなりとなってきました。このことが、若い世代が低所得に追いやられ、結婚・子育てを希望してもできずに少子化が著しく進行し、人口減少が加速するなど、「失われた30年」の大きな要因となっています。
 労働者が生計を立てられ、希望すれば結婚や子育ても可能となる水準でこそ、公正な賃金の水準です。経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約第7条も、「公正な賃金」や「労働者及びその家族のこの規約に適合する相応な生活」を与える報酬を労働者の権利として保障しています。
 そして、地方でも労働者1人に必要な賃金水準は、月23万円以上であることから、一般労働者の月間所定内労働時間147.3時間により換算すると、時給1500円以上となります。つまり、労働者が働いて生計を立てることに希望を持ち、持続可能な日本社会とするための最低賃金の水準は、少なくとも1500円と算定されます。
 上記を踏まえ、当会は、鳥取地方最低賃金審議会に対し、鳥取県の地域別最低賃金の大幅な引上げの答申を出すことを求めます。

以上

2026年(令和8年)6月26日
鳥取県弁護士会
会長 駒井 重忠

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