弁護士付添人は、家庭裁判所に送致された少年事件に関し、非行事実の有無や保護処分の必要性の判断が適正に行われるように、少年の立場から手続きに関与し、それとともに、家庭や学校・職場等、少年をとりまく環境を調整し、少年の立ち直りを支援する重要な活動を行っています。国選付添人制度は、少年や保護者の資力にかかわらず、国が弁護士付添人を選任する制度です。
現行制度は、法定刑の重い非行事実(長期3年を超える懲役又は禁錮にあたる罪)で身体拘束を受けたことが国選付添人選任の要件となっており、法定刑の軽い非行事実については国選付添人が選任されません。
しかし、少年事件では、非行事実が一見軽微であっても、要保護性に大きな問題があれば少年院送致などの重大な処分を受けるおそれがあります。弁護士付添人は、非行を犯した少年の環境調整や被害者対応も行っており、その必要性は非行事実が重大か否かにかかわるものではありません。
2018年(平成30年)6月以降、刑事訴訟法の改正によって被疑者段階で国選弁護人が選任される対象事件が拡大され、すべての勾留事件に国選弁護人が選任されるようになりました。その結果、少年に関しては、被疑者段階では国選弁護人が選任されていたのに、家庭裁判所に送致された後は国選付添人が選任されなくなるという「置き去り」の問題が生じています。
よって、当会は、国に対し、現行の国選付添人制度を拡充し、法定刑の軽重にかかわらず、少年鑑別所送致の観護措置決定により身体拘束を受けたすべての少年に対して必要的に国選付添人を選任する制度を設けるよう求める次第です。
以上
2019(平成31)年3月1日
鳥取県弁護士会
会長 駒 井 重 忠