当会は、2013年11月1日の「集団的自衛権行使の容認及び国家安全保障基本法案の国会提出に反対する会長声明」において、時の政府の政策によって集団的自衛権の行使が許されないとする確立した憲法解釈を変更してこれを容認することや、下位規範たる法律で憲法上の概念である自衛権の範囲を改変することについて、強く反対を表明した。
ところが、政府は、2014年の国会審議において、集団的自衛権の行使容認に向けた憲法解釈の変更を「閣議決定する方向になる」と答弁するなど、閣議決定によって憲法解釈の変更を行い、集団的自衛権の行使を容認する方針を堅持している。
このような政府の方針は、集団的自衛権に関して1981年以来30年以上もの長期間にわたり一貫して維持されてきた「憲法第9条の下で許容される自衛権の行使は、自国の防衛のため、すなわち国民の生命、財産を防衛するために必要最小限の範囲に限られるとし、集団的自衛権の行使は、憲法が許容する自衛権行使の範囲を超えるものであって許されない」との政府見解を憲法改正の手続を経ずに改めようとするものにほかならず、憲法によって行政・立法・司法という国家権力を規制し、これにより個人の尊厳を確保する立憲主義や、憲法の基本原理たる恒久平和主義、平和的生存権及び戦争の放棄を蔑ろにするものであり、到底許容することができない。
よって、当会は、憲法記念日を迎えるにあたり、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする弁護士の集団として、閣議決定によって憲法解釈の変更を行い、集団的自衛権の行使を容認しようとする政府の方針に改めて強く反対するとともに、政府に対し、国の最高法規である憲法を十分に尊重し擁護するように求める。
2014年(平成26年)5月2日
鳥取県弁護士会
会長 佐野泰弘