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【会長声明】弁護士法施行70周年を迎えるにあたっての会長声明

 令和元年(2019年)9月,昭和24年(1949年)に弁護士法が施行されてから70年が経過します。
 鳥取県弁護士会も,同法に基づく創立から70周年の節目を迎えました。
 鳥取県弁護士会は,これまでに人権擁護をはじめとする諸課題に取り組んできました。また,これからも取り組み続けて参ります。
 当会を取り巻く諸課題は多岐にわたりますが,ここでは3つの課題の「これまでとこれから」について申し上げます。

 第1に,憲法と人権をめぐる問題です。
 安保法など違憲の疑いのある法律が制定されるなど,この10年間で,憲法をめぐる情勢が急変しました。本年7月の参議院選挙後も,憲法を変更する動きに関する報道が増え,向こう10年の憲法をめぐる動向が不透明さを増しています。
 当会は,今後の社会の変容を注視しながら,鳥取県民をはじめとする市民の方々が,憲法に関する正確な知見を共有し,必要な場合に適切な意見表明を行うことができるよう,当会としての意見を表明し,情報の共有に努めます。
 また,人権に関しては,両性の平等や性的少数者の権利,夫婦別姓など家族のあり方,高齢者や障害者と社会のあり方をめぐる問題,貧困者の生存権,外国人の権利擁護などの具体的な人権問題が,この10年間でより明らかになりました。社会の多様化が進み,かつてはみえなかった問題が明らかになってきた一方で,それぞれの幸福追求権をいかに具体化して実現するかは向こう10年の課題です。
 弁護士が,個別の事件において,依頼者の権利擁護に向けて努力することはもちろん,当会としても人権問題に取り組み,関係機関に改善を求めるなど,鳥取県内をはじめとする人権擁護に努めます。

 第2に,鳥取県内における法曹人材確保の問題です。
 当会の会員数は,戦後以降,会員数が平成17年ころまで19名から29名までの間を推移しており,鳥取県全域が,いわゆる司法過疎地域でした。
 その後,全国的な法曹人口の増大に伴い,会員が平成27年までの約10年間で一気に69名にまで急増しました。
 しかし,その後は,会員数が大きく増減することなく,60名台を維持している状況です。
 近年,弁護士など法曹を目指す方が減少し,鳥取県の地域司法を支える弁護士も,近い将来には減少に転じることが懸念されています。
 鳥取県には法科大学院がなく,当会会員が直接,法曹志望者の養成に関わる機会は多くありませんが,鳥取県に配属される司法修習生の養成に努めるとともに,学校を訪問する法教育や法廷傍聴会などの市民向けイベントなどの機会において,私たち弁護士の仕事の魅力を広くご紹介し,将来に法曹を志す学生や生徒を増やしたいと考えます。

 最後に,情報技術(IT)や人工知能(AI)に関する問題です。
 この10年間で,インターネットやソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の社会や市民生活における重要性が格段に上がりました。それに伴い,SNS上でのいじめなど,鳥取県においてもITをめぐるトラブルが増えてきています。
 また,全国的に,民事訴訟のIT化の検討が進められています。当会も鳥取地方裁判所との間で,動画通信を用いた手続について,その課題の検討を行っているところです。向こう10年においては,民事裁判手続がペーパーレス化する方向性が模索されており,民事裁判のあり方が大きく変わることが想定されます。当会としては,鳥取県民をはじめとする市民の方々の裁判を受ける権利を保障するべく,他地域に遅れることなくIT化に対応するよう努めます。
 さらに,向こう10年間で,AIの技術が格段に向上することが予想されます。AIは,市民生活を便利にする利点がある一方で,紛争解決などに利用された場合には,前提となる情報の偏りなどの原因で,社会正義を大きくゆがめるおそれがあります。当会としても,その懸念をもって,AIに関する問題に注視して参ります。

 鳥取県弁護士会は,弁護士法施行70周年を迎え,基本的人権の擁護と社会正義の実現という弁護士の使命と,自らの行動を規律する社会的責任を自覚し,弁護士の職務の自由と独立,そして弁護士法が保障する弁護士自治を堅持しながら,これらの諸課題に取り組むことを決意いたします。

以 上

2019(令和元)年9月1日
鳥取県弁護士会
会長 森 祥 平

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