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【会長声明】憲法改正手続法の見直しを求める会長声明

 日本国憲法は、国家権力の行使に制約をかけ、これによって国民の基本的人権を保障する、国の根本規範です。
 憲法の改正は、主権者である国民にとって、極めて重要な意思決定ですから、憲法を改正するには国民の承認が必要です。それゆえ、憲法の改正には、国民投票による過半数の賛成が必要になります(憲法96条1項)。
 ところが、憲法は、この国民投票に関する具体的な手続を定めていません。このため、国民投票の手続は、国会が法律で定めることになります。この国民投票の手続を定めた法律が、「日本国憲法の改正手続に関する法律」です(以下、この法律を「憲法改正手続法」と略称します。)。
 憲法の改正は、長い将来にわたっての、国のあり方を決める、国民の重要な意思決定です。ですから、国民投票においては、国民の意思が正確に反映されなければなりません。
 そして、憲法の改正に関する、客観的で、十分な情報が国民に与えられなければなりません。
 また、国民が、じっくりと、よく考えて判断する必要があります。このため、国民がよく考えて判断するために必要な、十分な期間が与えられていなければなりません。
 こうした観点からみた場合、現在の憲法改正手続法には、とくに、三つの問題が指摘されています。
 第一に、最低投票率の定めがないことです。
 憲法改正の重大性を考えれば、憲法改正には、できるだけ多くの国民の意思が正確に反映されなければなりません。
 ところが、最低投票率の定めがなければ、極めて低い投票率であっても、その有効投票の過半数で、憲法改正の可否が決せられることになってしまいます。
 現在の憲法改正手続法には最低投票率の定めがありません。
 これでは、国民の意思が正確に反映されているのかどうか、重大な疑義が生じるおそれがあります。
 第二に、有料広告の規制が十分でないことです。
 現在の憲法改正手続法では、政党を含む団体や、個人による有料意見広告に関して、賛成又は反対のいずれかを勧誘する意見広告は、投票期日前14日間しか禁止されておらず、勧誘以外の意見表明広告においては、投票当日でも可能となっています。
 テレビやラジオ、新聞を利用した有料意見広告は、国民に極めて大きな影響力を与えるものです。ですが、こうした広告には、多大な費用がかかります。
 このため、賛成又は反対のいずれかの立場に立つ人の、資金力のちがいによって、情報提供の量や質に違いが生じ、不公平が生じるおそれがあります。
 これでは、客観的で、十分な情報が国民に与えられないまま、憲法改正の可否が判断されてしまうおそれがあるといえます。
 第三に、発議から国民投票までの期間が短いことです。
 現在の憲法改正手続法では、国会が発議した日から60日以降180日以内で、国会が定めた日に、国民投票を行うものと定められています。
 十分な情報交換と、十分な意見交換を行ったうえで、国民が冷静に判断するには、十分な期間が必要です。
 しかし、最短60日という期間が定められていますので、仮に個別条項の改正のみを問題とする場合であっても、この期間は短すぎるといえます。
 以上のとおり、憲法改正手続法には見直すべき重要な問題点があります。
 よって、国に対し、発議に先立って、これらの重要な問題点についての見直しを求める次第です。

以上

2019(平成31)年3月28日
鳥取県弁護士会
会長 駒 井 重 忠

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