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「特定秘密の保護に関する法律」施行に対する会長声明

本日、特定秘密の保護に関する法律(以下、「秘密保護法」という。)が施行された。
当会は、秘密保護法は国民の知る権利、報道・取材の自由等に重大な脅威を与えるものであり、国民主権を形骸化するなど憲法上の諸原理と正面から衝突するとして、これまでその施行に強く反対してきたが、現時点においてもかかる問題は何ら解消されていない。
2014年10月14日には秘密保護法の施行令及び運用基準(特定秘密の指定及びその解除並びに適性評価の実施に関し統一的な運用を図るための基準)が閣議決定されたが、これらの素案に対しては約1か月の間に2万3820件ものパブリックコメントが寄せられた。そこには人権侵害を憂慮する重要な指摘が多く含まれていたにもかかわらず、これらの施行令(案)及び運用基準(案)はほとんど内容を変えないまま、わずか2週間余りで内閣総理大臣に提出された。このように国民の意見を軽々に扱い、パブリックコメントを「通過儀礼」にしか見ない姿勢は国民を蔑ろにするものであり、まさに国民主権原理に反する秘密保護法の問題点とその背景を同じくするものである。
2014年7月、国連人権(自由権)規約委員会は、日本政府に対して、秘密保護法が秘密に指定できる事項が広くて曖昧であること、秘密指定に関して一般的な条件を含んでいること、そしてジャーナリストや人権活動家の活動に深刻な影響を及ぼしうることについて懸念を表明した。
このように国の内外から多くの強い批難を受ける秘密保護法には、その本質的部分において看過できない重大な問題があることは明らかであり、抜本的に見直すことが必要不可欠である。
よって、当会は、国民の人権に取り返しのつかない深刻な影響を与える前に、秘密保護法を即刻廃止することを改めて強く求める。

2014年(平成26年)12月10日
鳥取県弁護士会
会長 佐 野 泰 弘

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