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「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案」 (いわゆる「カジノ解禁推進法案」)に反対する会長声明

「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案」(いわゆる「カジノ解禁推進法案」)に反対する会長声明

当会は,「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案」(いわゆる「カジノ解禁推進法案」)について,反対の立場を表明し,同法案の廃案を求める。

我が国の刑法は賭博を禁じている。これは「勤労その他正当な原因に因るのでなく,単なる偶然の事情に因り財物の獲得を僥倖せんと相争うがごときは,国民をして怠惰浪費の弊風を生ぜしめ,健康で文化的な社会の基礎を成す勤労の美風(憲法27条1項参照)を害するばかりでなく,甚だしきは,暴行,脅迫,殺傷,強窃盗その他の副次的犯罪を誘発し又は国民経済の機能に重大な障害を与える恐れすらある」(最判昭和25年11月22日)からである。
カジノ解禁推進法案は,刑法が禁じている賭博を推進するものである。刑法があえて賭博を禁じていることからすれば,賭博を推進するには賭博の弊害とその対策を慎重かつ具体的に検討しなければならない。しかるに,カジノ解禁推進法案は,カジノ解禁という結論ありきで,弊害除去に向けた対策は抽象的かつ不十分なものと言わざるを得ない。

加えて,カジノ解禁推進法案において推進されようとしているカジノは,暴力団の新たな資金源確保の機会を与え,かつ,マネーロンダリングに利用される危険があり,また,ギャンブル依存症の拡大,多重債務問題の再燃,青少年の健全育成への悪影響等が指摘されている。有害な影響として指摘されている事項は,それ自体,官民一体となって対策に取り組むべき事項であり,また,これまでの社会全体による長期的,かつ,粘り強い取組みにより,成果を上げつつある事項である。カジノ解禁推進法案は,社会全体を挙げて取り組んできた対策と,その成果に水を差すものである。

また,カジノ解禁推進法案によれば,カジノを設置,運営する民間企業が「胴元」としての利益を取得することとなる。運営する民間企業の安易な利益追求により,カジノによる有害な影響が広がることを抑止するためにも,既存の公営ギャンブル以上に十分な対策が必要である。にもかかわらず,法案における影響排除のための措置は何ら具体的なものではない。

カジノ解禁の推進については,解禁による経済効果が指摘されることがある。
しかし,カジノ解禁による数多の弊害は,いずれも,個人の尊厳,人々の自由や権利の保障,安心,安全な生活に対する重大な障害である。人々の人格的な生存を犠牲にして経済効果を得るような経済活動は,健全な経済活動ではない。人々の幸福が確保されない社会であっては,経済効果など何の意味も持たない。経済効果のために,人々の幸福が犠牲になることは許されない。
目先の経済効果に目を奪われた拙速な議論であっては,個人の尊厳,幸福が犠牲となる。そのような本末が転倒した議論ではなく,まずは,カジノ解禁による弊害を除去するための慎重かつ具体的な対策が立てられるべきである。

弊害に対する的確な対策がとられておらず,また,弊害に関する十分な議論すらなされていないカジノ解禁推進法案に対して,反対の立場を表明し,同法案の廃案を求める。

2014年(平成26年)10月9日
鳥取県弁護士会
会長 佐 野 泰 弘

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